平安時代発祥の歴史ある和菓子、花びら餅。
古くから縁起物として食べられている花びら餅の歴史を紐解くと、その名前の由来や、込められた意味がわかってきます。
長い間人々に愛されてきた花びら餅、いったいどんな和菓子なのでしょう。
めったに見かけないのでいつ食べるものなのかも気になりますよね。
花びら餅とはどんな和菓子で、いつ食べるものなのか?名前の意味や由来も含め詳しくお伝えします♪
花びら餅とは?いつ食べるもの?
花びら餅という名前ですが、見た目は花びらの形ではありません。
白くて丸いお餅か求肥に小豆汁で染めた菱餅を置き、白味噌と牛蒡の甘煮を乗せ、半分に折りたたんで作られます。
見た目もピンク色で名前も花びら…。このキーワードだと春を連想しますよね。
しかし、実際はお正月の縁起物として食べられます。
特に茶道の世界では、京都に家元がある裏千家の初釜で出されることで有名です。
新年の挨拶会や稽古始めの意味もあり、とても大事な行事なのですよ。
ピンク色の花びら餅に深い緑色の抹茶、見た目もとても華やかでまさにお正月にふさわしいですね♪
少し前までは京都限定のお菓子でしたが、最近ではどこでも手に入るようになってきました。
和菓子屋によって個性豊かにアレンジもされているようです。
麻布十番【麻布十番庵】
上生菓子/324円
花びら餅(柚子あん)/350円+税
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上生菓子はゆりね餡を使用
花びら餅は味噌餡にオリジナルの柚子あん
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ゆりね餡はクセなくて美味しい
花びら餅は大人の味w
評価→❤︎❤︎❤︎❤︎⚪︎ pic.twitter.com/PnuHDvTkSa— あんこっこ (@anko_s2) January 11, 2016
自分好みの花びら餅を見つけて、お正月の楽しみの1つにしたいですね。
しかし花びら餅を調べていくといくつか疑問が生まれてきます!
- なぜ裏千家の初釜で花びら餅が出されるのか
- なぜ京都というエリア限定だったのか
- なぜお正月の縁起物となったのか
しかし花びら餅の長い歴史を知れば、こういった疑問も解決されます。
というわけで、次は花びら餅の意味や由来・歴史を紹介します!
花びら餅の意味や由来・歴史は?
花びら餅の歴史は古く、なんと平安時代までさかのぼります!
ルーツは宮中で元旦から3日間行われていた「歯固めの儀式」で食べられていた「菱葩餅(ひしはなびらもち)」。
花びら餅の名前はこの菱葩餅が由来です。
餅の上に赤い菱餅を敷き、その上に猪肉や大根、押し鮎(鮎の塩漬け)、瓜などをのせて食べていたそうです。
特に鮎は「年魚」とも書くので、お正月にふさわしく、お供え物にも使われていたことが『土佐日記』にも記されているとか。
固いものを食べて歯を丈夫にし、長寿や延命を願うことをいいます。昔は歯の数を見ると年齢がわかることから、歯は「齢(よわい)=年齢」に通ずると考えられていました。なので新年に固いものを食べ、歯を丈夫にすることで長寿への願いを込めていたというわけです。
この菱葩餅は、宮中に餅を納めていた京都の老舗和菓子屋、川端道喜が作っていたようです。
やがて、長い年月が経つにつれ、儀式が簡略化されていきます。
菱葩餅も姿を変え、鏡餅に押し鮎、大根を添えた「御所鏡」となりました。
その後、さらに時代は流れ、丸形と菱形を重ねた餅で押し鮎と味噌を包んだ「宮中雑煮」に変化します。
最終的には、鮎は牛蒡で、雑煮は餅と白味噌餡で見立てたものへと変わっていきました。
ちなみになぜ牛蒡が使用されるのかについてはこちらも読んでみて下さい!
【菱葩餅(ひしはなびらもち)】
お正月に登場するこのお菓子。通称「花びら餅」です。
白味噌とごぼう、ピンク色の餅がふわふわのお餅、または求肥に包まれた雅なお菓子です。
起源は平安時代の新年行事「歯固めの儀式」に遡り、宮中のおせち料理を簡略化したものとされています。#花びら餅 #和菓子 pic.twitter.com/IsCrvdR5It— 茶道体験カメリア (@camelliakyotojp) January 3, 2022
しかし、明治時代に入って花びら餅に転機が!!
天皇の住まいが京都から東京へ変わったことで、宮中に餅を納めていた川端道喜は仕事を失ってしまったのです。
そこで、川端道喜は茶席で使われるお菓子を作り始めました。
同じころ、茶道の裏千家十一代家元の「玄々斎宗匠(げんげんさいそうしょう)」が宮中に呼ばれました。
そこで花びら餅を食べたことをきっかけに、宮中へ花びら餅を初釜で使わせてほしいと頼みます。
宮中から許可が出たので、京都で茶菓子を作っていた川端道喜に製作を頼みました。
試行錯誤の末、初釜に使用できるお菓子として花びら餅は生まれ変わったのです。
初釜になくてはならないお菓子となった花びら餅は徐々に全国に広がっていき、京都以外でも手に入るようになりました。
こうしてお正月を彩る和菓子として、花びら餅はその地位を築いていったのです。
このように平安時代から現代まで、「花びら餅」に由来するものをお正月に食べ続けていたということが分かりました。とても感慨深いです。
では最後にまとめに入りましょう!
まとめ
最後に、花びら餅について以下のようにまとめてみました!
白くて丸いお餅か求肥に小豆汁で染めた菱餅を置き、白味噌と牛蒡の甘煮を乗せ、半分に折りたたんで作られた半月型の和菓子。真ん中がうっすらピンク色に見えます。
お正月の縁起物として食べられます。特に裏千家の初釜でふるまわれますよ。
平安時代の「菱葩餅(ひしはなびらもち)」が由来。宮中で元旦から3日間行われていた「歯固めの儀式」で食べられていました。長寿や延命を願う意味が込められています。
菱葩餅(餅の上に赤い菱餅を敷き、その上に猪肉や大根、押し鮎(鮎の塩漬け)、瓜などをのせて食べていた)
↓
御所鏡(鏡餅に押し鮎、大根を添えたもの)
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宮中雑煮(丸形と菱形を重ねた餅で、塩漬けの鮎と味噌を包んだもの)
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花びら餅(明治以降、初釜で使用する茶菓子となり全国へ広がる)
現在は和菓子屋によって様々にアレンジされた花びら餅が楽しめます。まだまだ花びら餅の歴史は続いているのですね。
込められた意味や長い歴史に思いをはせながら味わうもよし。いろいろな花びら餅を食べ、自分好みの花びら餅を見つけるもよし。
花びら餅がみなさんの新年を華やかに彩ってくれますように^^