春の訪れを感じる和菓子と言えば『桜餅』ではないでしょうか。
しかし、『桜餅』と一言に言っても、関東と関西の地域によって違いがあることをご存知でしたか?
そこで今回は、関西の桜餅『道明寺』と関東の桜餅『長命寺』はどう違うのか?
それぞれの特徴と由来、発祥、歴史から地域分布まで詳しく解説していきます。
ぜひ、ご自身の桜餅はどちらだったかチェックしてみてくださいね。
桜餅の道明寺と長命寺の違いは?地域分布も徹底解説!
まず、桜餅には関西の『道明寺』と関東の『長命寺』の2種類が存在しています。
道明寺・・・道明寺粉というもち米が原料の粉を使用していて、蒸しあがった生地であんこを丸く包み、お餅の周りを塩漬けした桜の葉で包んだ桜餅
お餅の周りの桜の葉も一緒に食べることが多い
長命寺・・・クレープのように小麦粉を平らに焼いて、丸めたあんこを包み、お餅の周りに塩漬けした桜の葉で包んだ桜餅
お餅の周りの葉を食べないことを推奨されている
桜餅の葉の食べ方がそれぞれ違うのには理由があります。
- 道明寺桜餅は桜の葉っぱも食べる前提であんこの甘みが調節されているから
- 長命寺桜餅はお餅本来の風味や味を楽しんでほしいということで食べないことを推奨されているから
皆さんが普段食べている桜餅はどちらだったでしょうか?
ちなみに私は、関西出身なので道明寺の桜餅で、葉っぱを食べることが普通だと思っていました。
では、『道明寺』と『長命寺』の違いや、どのような地域分布なのかを見ていきましょう!
『道明寺』の桜餅
道明寺とは大阪にある1400年以上の歴史ある天満宮を言います。
関西で主に食べられている桜餅で、現在は関西から西の中国地方や四国・九州、そして北陸地方や愛知県・岐阜県・さらには宮城県や山形県・青森県の一部・北海道まで広がっています。
『長命寺』の桜餅
長命寺とは東京にある天台宗の寺院のことを言います。
関東で一般的な桜餅で、山梨県・静岡県・長野県・秋田県・島根県にも広まっています。
しかし、関東では道明寺の桜餅が売られていることも多いんです。
ぜひ、見かけた際には一度食べ比べしてみてくださいね^^
では、次に道明寺と長命寺の由来や発祥・歴史を解説していきたいと思います。
桜餅の道明寺と長命寺!由来や発祥、歴史を分かりやすく解説!
実は、『道明寺』と『長命寺』、歴史が古いのは『長命寺』なんです。
それは、江戸時代の享保2年(1717年)にまでさかのぼります。
江戸の向島にある長命寺で門番をしていた『山本新六』が、大量の桜の落ち葉拾いをしながら『何か葉っぱを利用できないか。』と考え、塩漬けにした桜の葉っぱをお餅に巻いて、花見客に売り出したことが始まりと言われています。
このお餅が大変人気を集めたため、山本新六は、長命寺の門前に和菓子店『山本や』を作ったのです。
なんと!このお店は、現在も『長命寺 桜もち 山本や』として残っており、1年中桜餅を楽しめるお店として今でも人気を誇っています。
🌼和菓子 長命寺の桜餅…東京向島山本や製。桜餅…銀座曙製。300年前から続く長命寺門前の桜餅。江戸の元祖桜餅は今でも桜の葉を3枚。曙製は上に桜の塩漬け。8代将軍吉宗は災害対策に隅田川沿いの土手に桜を植え見物人が歩く事で土手が踏み固まったとか pic.twitter.com/7RrueDsgPz
— nairu (@nairunokaze) March 10, 2021
一方、道明寺の桜餅は、長命寺の桜餅をヒントに天保の時代、1830年代に大阪北堀江のにあった『土佐屋』が売り出したことがはじまりと言われています。
道明寺の材料である道明寺粉とは、もち米を水洗いして2日間水に漬け、蒸してから1ヶ月間乾燥させる『糒』(ほしい)という保存食のことで、糒自体が誕生したのは平安時代とも言われています。
そして、そんな糒を粗く挽いて粉にして作られたお餅が『道明寺桜餅』なのです。
ちなみに、関西には桜餅以外にも道明寺粉で作られる和菓子『椿餅』があります。
寒さと共に落ち着いた京都です。
さて今年も椿餅をご用意しております。
このお菓子は、平安時代時代の源氏物語にも登場するほど歴史のあるものです。
うちでは、中に梅酒で風味をつけた金柑がしのばせてあります。
道明寺の粒の立ったもちもち感と白餡と金柑が相まって人気の菓子です。#kameya pic.twitter.com/RBn6iFlWFw— 亀屋良長 吉村良和 (@yoshimura0303) January 19, 2023
椿餅は、平安時代にはすでに食べられていたと言われており、道明寺粉の歴史を感じますね。
また、大阪にある道明寺では、今でも道明寺粉は売られているようですよ。
最後に、花見客に売り出したことがはじまりの『桜餅』ですが、実は現代のお花見と江戸のお花見では少し違うところがあるようです。
現代のお花見と言えば、桜の一種『ソメイヨシノ』を見ることが多いですが、江戸時代は早咲きの『彼岸桜』をはじめ『枝垂れ桜』や『八重桜』など開花時期が異なる桜をたくさん楽しむことをお花見と言っていました。
そのため、お花見を1ヶ月も楽しめたそうですよ。
まとめ
私たちが知っている「桜餅」は、関西の『道明寺』と関東の『長命寺』と、地域によって異なる文化や歴史があることが分かりました。
みなさんは、いつもどちらの桜餅を食べられていましたか?
ぜひ、これから桜餅を食べる際は、歴史を感じながら食べてみてくださいね。
また、食べたことがない桜餅を試してみるのもおススメです。
私もぜひ、長命寺桜餅を食べてみたいと思います!